母の写真を見る。今にも優しく声をかけてきそうな気がする。
いや、生きてるでしょう? 横浜帰ったら今頃テレビ見て夕食食べてるんじゃないの?
本を読んだり、庭の花に水をやったり、紅茶飲んだり、お風呂入ったり、ねぇ?
今日もそんなふうに過ごしてたんじゃないの?
いやぁ…。だってお母さんだよ。いないとダメやろ…。
おらんかったらあかんやろ…。
どう考えても大事だよねぇ。いないと何にも楽しくないよねぇ。
お母さんを喜ばせるために生きてたよねぇ。
終わっちゃったよねぇ。無理だよねぇ。耐えられないよねぇ。
意味がわからん。
「?」
人生の目的がないぞ?
一応聞くけど、人って生き返らせられないんですか?
ダメなの。そうですか。知ってたけど。
みんな知ってるね。いつ知るんだろうね。
僕はいつ「死」というものを知ったんだ?
子どもの時、童話か何かで知ったのかな?
じゃあ、お母さんが読んで聞かせてくれたんだ。
「死」についても、その時説明してくれたんだろうなぁ。
なんて説明されたんだろ。どうやって理解したんだろう。
「マッチ売りの少女」か?それとも「フランダースの犬」か?
俺は悲しくて泣いたのだろうか。それを母はどう慰めてくれたのだろうか。
とりあえず、マッチをくれ。
擦ったら、亡くなった人に出会えるそのマッチを売ってくれ。