35日目・早朝

また母の夢を見ました。

 

どこかの街で、お母さんを置いて行ってしまう夢。

振り返ると置いて行かれたお母さんが、走って追いかけてくるのが見えて、慌てて駆け寄る夢。

「お母さん、走らなくて良いよ。これからはお母さんに合わせてゆっくり歩くからね」

と言って手を繋いで歩き始める夢でした。

 

股関節にボルトを入れる手術をしたので、走ることはできなくなってしまっていました。

だから走る母を見るなんて、何年もしてなかった。

 

お母さんさ、今も置いて行かれたと思ってないかな。

急に、病気が見つかったでしょう? 急に2ヶ月半で亡くなってしまったでしょう?

気が付いたら家族とはぐれて、いま必死で探してない?

僕がそばにいて、守ってあげなくちゃいけないのに、そっちに行けないよ。

住む世界変わっちゃって、住所、変わっちゃって、手紙も届けられない。

 

悲しいね。寂しいよ。お母さん。