29日目・夜

吐き気がする。心が苦しさで膨れ上がってしまって。

 

だってここ、いま寝ているベッドは、確かに僕が実家にいた時に寝ていたベッドだけど、

実家を出てから約13年間、母のベッドだったから。少し前まで、ここで寝ていました。

テレビを見たり本を読んだり音楽を聞いたりして過ごしていました。

誰に迷惑をかけることもなく、普通の暮らしをしていました。

何がいけなかったのか、さっぱりわからない。

平均寿命にも満たないし、9月15日までは元気だったのに、

急に「現代医学では治すのは不可能です」だからなぁ。

2ヶ月半であっけなく、生涯を終えることになってしまった。

どうしてこんな年になってしまったんだ。

 

忘れられません。最愛の母の最期の夜。脳裏に焼き付いて離れない。

大切な人の死を目の当たりにして、心に大きな衝撃を受けないわけがないでしょう。

それが「癒えました」なんてことはありえないでしょう。

 

ひとつ母との楽しかった思い出を考えるたびに、

「でもその母が◯◯年後になくなってしまう」という文章が浮かんでしまう。