「もしもしー」
「はいはーい」
「寝てたー?」
「いやー、まだだー。本読んでた」
「そっかー」
「今日は遅い日だったよね、疲れたしょ?」
「うん、風邪っぽかったからね」
「そうだそうだ、この前言ってたね、少しは良くなったかい?」
「いやーどうだろう。いまは大丈夫だけど、咳出たり寒気がする時もあった」
「あらぁ、ルル飲んで早く寝たらいいわ」
「飲んだよ。そしたらなんとなく聞いてきた感じする」
「そうかい、良かった良かった」
「あんまり風邪引かないのに、お母さんいないから免疫力がガタ落ちだよ」
「そんな、たまたまだー。誰でも風邪くらい引くって。でもコロナもまだなくなったわけじゃないからね、手洗いとうがい、しっかりするんだよ」
「うん」
「マスクもしっかりするんだよ」
「マスク、最近1枚しかしなくなっちゃったから悪かったかなぁ」
「あら。マスクなんてケチしちゃだめだよ、なかったら送っちゃるか?」
「いらんいらん。っていうか、送っちゃるかって、お母さんもうそういうことできないよ」
「ああそうだね、私死んだんだもんね」
「まったく、何だこの世界は、意味わからんわ」
「ホントさね」
「ああ、ごめん。なんか眠くなってきた」
「薬が効いてきたかな、ほれ、あったかくして寝なさい寝なさい。湯たんぽ入れたかい?」
「入れた入れた」
「じゃあね。切るかい?」
「お母さんも寝るの?」
「いんや、もうちょっと本読んでから寝るわ」
「そっか。じゃあまたね」
「はいはい。おやすみー」
「おやすみー」