58日目・夜2

「もしもしー」

「はいはーい」

「寝てたー?」

「いやー、まだだー。本読んでた」

「そっかー」

「今日は遅い日だったよね、疲れたしょ?」

「うん、風邪っぽかったからね」

「そうだそうだ、この前言ってたね、少しは良くなったかい?」

「いやーどうだろう。いまは大丈夫だけど、咳出たり寒気がする時もあった」

「あらぁ、ルル飲んで早く寝たらいいわ」

「飲んだよ。そしたらなんとなく聞いてきた感じする」

「そうかい、良かった良かった」

「あんまり風邪引かないのに、お母さんいないから免疫力がガタ落ちだよ」

「そんな、たまたまだー。誰でも風邪くらい引くって。でもコロナもまだなくなったわけじゃないからね、手洗いとうがい、しっかりするんだよ」

「うん」

「マスクもしっかりするんだよ」

「マスク、最近1枚しかしなくなっちゃったから悪かったかなぁ」

「あら。マスクなんてケチしちゃだめだよ、なかったら送っちゃるか?」

「いらんいらん。っていうか、送っちゃるかって、お母さんもうそういうことできないよ」

「ああそうだね、私死んだんだもんね」

「まったく、何だこの世界は、意味わからんわ」

「ホントさね」

「ああ、ごめん。なんか眠くなってきた」

「薬が効いてきたかな、ほれ、あったかくして寝なさい寝なさい。湯たんぽ入れたかい?」

「入れた入れた」

「じゃあね。切るかい?」

「お母さんも寝るの?」

「いんや、もうちょっと本読んでから寝るわ」

「そっか。じゃあまたね」

「はいはい。おやすみー」

「おやすみー」