持たざるもの

こうなれたらいいな、と思っていたものがいざ現実のものになりかけた時、
手に入れることで生じる責任に耐えられなくて
そのチャンスを逃してしまうことはよくあります。
夢は現実から遠くにあって、自由に、自分勝手に描いている時が一番楽しくて、
ふわふわしている段階から抜け出して現実味を帯びると、
逆に領域外のものが侵入してきたような感覚になる。そして逃げ出すわけか。
責任を背負い込むくらいなら持たざるものでもいい。それが俺だ。情けない話だぜ。
自分勝手に想像できる世界だ。楽しいに決まっている。
何回だってリセットできて、時間の概念もない。
緩やかに流すこともできれば、時の流れを止めることも後戻りしてやり直すこともできる。
パラレルワールドを全て体験することもできる。
いくつもある未来を好きなだけ見ることができて、責任もない。心は…あるのかな。
でも時の流れに逆らえば、人は罰を受ける。


多くの選択肢からたったひとつを選ばなければならなくてリセットのきかない状況では、
余程選択することを迫られない限り、選択は先延ばしする。
締め切りがなければ、ずっとセーブポイントでレベルを上げ続けるんだ。
そしてチャンスを失う。よくある話さ。


注: 数学とは何の関係もありません。