うーむー。研究費が30万円増えそうなのですが, 欲しいでしょうか。
具体的には,大学から
「研究費として30万円あげるからその代わりに研究成果の一部を学内の報告書に提供してください。如何でしょうか?」
という話がきています。後半の文章の問題点を説明すると,
もし30万円受け取って学内の報告書に自分の研究成果の一部を提供すると,
それはもう他の論文にその成果を書く事ができないのです。
数学誌に研究成果を投稿する場合は, どこでもそうですが,
最新の結果であることが大前提(当たり前ですね。)で, 他の文献に書かれている内容は
直接結果として数学誌に投稿することはできないからです。
(もちろんほかの性質を述べるために使用するから引用する, というのはありです。)
そして, この「学内の報告書」というのは正直なところ,
学術的にはあまり価値がありません。というか全く価値がないと思うんです(個人的には)。
業績にならないというか, 実際書いた論文の本数「+1」とはカウントされません。
なので, 頑張って本気の研究成果を載せるともったいないのです。
本気の研究成果を載せてしまうと, 本来論文として数学誌に投稿すべき内容が犠牲になってしまいます。
本気の論文内で引用をするにしても, そもそもそんなローカルな冊子に掲載されているものを引用して誰が見ることができるでしょうか(という話です)。
例えばロシアの先生が自由に閲覧出来るかというと出来なくて,
数学誌のように各大学の図書館に保管されるものではなく, 学内のいち資料として間違いなく埋もれます。
というわけで, それ相応の結果を出す必要があります。
それ相応の結果, って何?という話ですね。
それ相応の結果を出すのは別にいいんです。
が, 問題はそれ相応の結果を出すために時間が取られるということです。
本来研究すべき研究内容を保留にして, 時間を費やしますか?というのが問題になります。
そしてこの30万円, 旅費として使えるのは半額を超えない範囲(つまり15万円より少額)でなければならないという約束があります。
その辺りの問題を帰りの電車の中で考えていました。
現時点で研究費は数学者にとっては十分すぎるほどあるので個人的にはどうしても欲しい30万円というわけではないのです。
むしろそれ相応の結果を出すための時間が取られることを考えると, 研究の妨げになります。
それなら断ればいいじゃないかと思われるかもしれません。
が, 世の中, 評価の基準がズレていることがよくあって,
形になっていることが価値があり, 数学者が意味があると思っている問題を頑張って考え続けてしばらく結果がでないことよりも,
何か研究成果が形になっていることが評価の対象になることがよくあるんです。
そして, 基準がそれである人たちの考え方では,
研究成果が形になっている学部・学科は「研究が活発に行われている」と表現されます。
要するに, 僕が現在所属している学部・学科のためには,
その30万円を受け取って, 本来やるべき研究の他に結果を出すための研究(埋もれても良いもの)をやってですね,
研究成果として報告をしなければならないということになるわけです。
もちろん, 長期的な意味で価値があるのは, 数学者ひとりひとりが抱えている数学の各分野にとって必要な研究成果です。
なのではじめは興味がなかったのですが, ふとよくよく考えてみると,
いま所属している学部・学科があるために本来やるべき研究ができているというのもひとつの事実。
というわけでこの話を受けるのも恩返しとしてはありだよなぁと思えてきたのが昨晩。
もちろん火曜日の会議で話を聞いて考え直してみたわけですけどね(この話の存在は1年前から知っていました)。
というわけで, (いまならまだ引き返せますが,)恩返しをする方向で心づもりをしています。
なので考えるべきことは次の2点。
- ① 30万円を何に使うか。
- ② どんな結果を提供するか。
②は電車の中で30分(『実践ビジネス英語4月号』を読みながら)考えたところ, 2個ネタがあるような気がしてきました。
なのでこの話を受けるか受けないかを決める締切の5月8日までにささっともう結果を出してしまえばいいのかもしれません。
そうすれば, あとは気兼ねなく本年度中に30万円を使い切ることだけを考えればいいわけです。
で, ①ですが, 僕が本年度使える研究費は前述の通り十分にあります。
15万円弱は研究集会に参加するので使う(これもぎっくり腰のためまだ頻繁にはできませんが)として,
残りの15万円強は物品を買わなければなりません。数学者が必要な物品と言えば…
- 数学書→しかし数学書を買うための経費は別にあって十分すぎるほどある。
- パソコン→論文を書くためには必須ですが, 何台も必要なわけではありません。プリンターなどのパソコン機器も同様です。
- 筆記用具→数学者にとってはマストアイテムです。…が計算用紙は大学の講義で配布して余った資料の裏を使用しているため無尽蔵に増えていきます。いい紙を使うと緊張して落ち着いて計算できないので裏紙で十分なのです! 計算は1本126円のサインペンでやっています。15万円分購入するとすると…。そんなことをする人はまずいません。
- ソフトウェア→Mathematica はすでに所持。Mapleを買ったらどうですか, という案をいただきました。それは候補としてありかと思います。が, Mathematica があるしなぁという気持ちはありますね。
- あとは…研究集会会場で講演のスライドを撮るために一眼レフとか買ってもいいですかね? もうそれくらいしか候補がないです。
長々と書いてきましたが, まとめると, (それ相応の研究が増えるなら)また忙しくなるじゃないか( ̄◇ ̄;)
という話でした。最近寝ても疲れが取れてないので, 乗り越えるためにもなんとかならないかなと思っています。
睡眠時間5時間とかはやっぱり足りないのかもしれないですね。