守りたい2

俺は,守りたい。その思いは日々強くなっていく。
なぜ俺はいま守りたいと思うのだろうか。
守るための強さを身につける為に,俺は,その答えを探したいと思った。
守るべきものを失った俺が未だ守りたいと感じるその理由を,俺は探している。
守れなかった事への悲しみを乗り越えるため,という理由ではダメだ。
俺自身が傷つく事は問題ではない。
守れなかったときに自分が悲しいから,
守りたい,強くなりたいというだけの理由ではいまは納得ができない。
俺自身の傷を癒す為ではなく,俺自身の悲しみをなくすためでもなく,
本当に守りたいという気持ちを表現するためにはどうすればよいのだろう。


俺の夢は,守る事ができる強さを持つ事だった。
守る事ができなかったとき,守る事ができなければ,
俺の夢も俺自身の存在も意味がないように思えた。
しかし,悲しみに向き合う中で,守れなかったことは
もっと強くならなければならないということを意味するのだと感じた。
それゆえに,守る事がなくなってしまった今も,
守りたいという気持ちは高まっているのだろう。
何も守るものがないのに守りたいと思う気持ちだけは確かに俺の心の中にある。
不確かな目的にもかかわらず,強く感じるこの気持ち。


しかし俺は,目的もなく彼の心の中を彷徨っているのか?