夢が叶わなかった世界は現実だから，その夢には続きがある。
その夢が一番大切な夢だったのなら，
例え夢が叶わなかったとしてもその夢は大切にするべきであって，
一番大切な叶わなかった夢を大切にするための方法は，
夢が叶わなかった現実を輝いて生きること。
そこで俺は，夢が叶わなかった現実を輝いて生きる方法を探していた。
もちろん，悲しんではいけないという事ではないから悲しむべき時はきちんと悲しんだ。
その上で，やはり夢が叶わなかった現実を輝いて生きることは大切だと感じて，その方法を探した。
力が溢れ出るのなら，夢が幻想でもいい。
叶わなければ夢を見てはいけないなんて誰が決めたわけでもない。
というのもひとつの考え方かもしれない。
しかし，新たな問いかけに遅すぎるくらい時間が経ってから気が付いたが，
「もし本当にサミアを守らなければならない状況になった時，
今の俺の力で実際にサミアを守ることはできるのだろうか？」
サミアを守るためにという夢を持ち，多くの困難を乗り越え
力をつけてきたことである程度の自信は備わっていたのだろう。
サミアを守るためなら，いくらでも頑張りたいが，
頑張る事そのものが幻想となり心に闇を生む可能性を秘めているから，
もう頑張ってはいけない，頑張りたいのに頑張ってはいけない
という思いには相当苦しまされた。
しかし，今の俺の力で実際にサミアを守ることはできるか。
今の段階である程度は守れるとは思うが，その力は完全なものではない。
要は，頑張りたいのに頑張ってはいけないなどと言っている場合ではなく，
サミアを守るにせよ何にせよ，まだ頑張らなければならないのだ。
サミアを守るために頑張ってきたというこれまでの話は真実だが，
それは随分と余裕のある話のようにも思える。
頑張りたいって何だ？ 夢なんかなくたって頑張らなければダメだろ。
夢があるから頑張っているうちに，夢がなければ頑張れない人間になっていたのかもしれない。
夢がある事が当たり前だったために，そのことに気が付くのに遅れてしまった。
夢などなくても頑張らなければならない。
夢なんてものは始めから必要なかったのかもしれないな。
