存在しない記憶

京都に住んでいた時、部屋を2つ借りた記憶がなぜか頭の中にあります。
京都駅の北側と南側に一件ずつ借りて、片方は和室、片方は洋室です。
気分が変えられるように、という謎の贅沢チョイスをして2つ物件を借りた、
という設定の記憶です。で、実際は、片方に住み続けてしまい、
もう片方は借りたことすらも忘れていて、今も家賃が引き落とされ続けている。



そんなわけない記憶がなぜか存在しているのです。
時々、頭の中にその記憶が強く現れて、ヤバイ、解約しなきゃ、
という義務感にかられます。でも、その物件がどこにあるのか思い出せない、
という設定です。


そんなわけないこの、偽りの記憶。
どうして頭の中にあるんだろう。
夢の中で作り出された体験が、記憶の世界に入り込んで居座っている。
偽りの記憶なんだからないほうがいいんだけど、
記憶の存在を否定しても、消し去ることができません。
論理的には、矛盾が生じればその世界は消せる。存在が打ち消される。
でも、この記憶は…。
論理で消しても、忘れた頃に蘇って、また記憶の世界に居場所を作る。
まるで不死鳥フェニックスみたいです。


記憶の不思議。リユニオンとかもそういう感じなんでしょうね。
あるはずのない記憶が、存在しているかのように現実世界で演じられると、
やがては真実のように振る舞い続ける。
本当の真実を、偽りの記憶が侵食し、真実へと成りすます。
こわーい。