ドリームスピア

朝の5時半のバスに乗って羽田空港に向かっています。
伊丹や関空じゃなく、これからしばらくはまた羽田や成田を使うことになるんですね。
またいつか、京都に戻れたらいいな。


さて、ここからは半分が事実、半分は精神世界のお話です。
いまからひと月ほど前。8月の半ば。
ドリームスピアの眠る、鞍馬山に行ってきました。
就職活動がうまくいきますようにと4月の頭にお願いに行ったのもあったので、お礼を兼ねて。
鞍馬山から魔王殿や貴船神社を経て貴船口まで歩いてきました。
ドリームスピアの眠る鞍馬山山頂で、2年半に渡る京都生活を思い返していました。
家探しに来た日のこと、入社式、京都で知り合った人たちのこと、研究生活のこと、学内の仕事のこと。
ひと通り思い返すのに30分以上かかりました。
山頂で立ち止まり、周囲の山々を眺めながら思い出に浸っていました。


そもそもドリームスピアをこの山に預けたのは、
研究に専念することへの誓いだったんです。
ドリームスピアはドリームスフィアから生まれた壊れた夢の欠片。
持ち主の意思により、夢を壊すことも守ることもできる夢槍。
しかし、京都生活1年目は夢がありませんでした。
守りたい夢も壊したい夢も、何も。
リアムスとフィアの意思でかつては時間を越えた場所にあった過去の夢を守りました。
現実から逃げずに悲しみの生まれる夢を守りました。
それはそれで良かったのですが、悲しみと戦う現実に向き合う必要が出てきました。
ドリームスピアがそばにあるとあまりにも過去を思い出してしまうから、
悲しい気持ちで研究をするのはダメだと思い、いったんドリームスピアを鞍馬山の山頂に隠したのです。
鞍馬山は神秘的な山です。力のある山だと思っています。
だから時間が十分に過ぎるまで、
ドリームスピアを封印し、山の力をたっぷりと浴びさせるつもりで預けました。


京都を離れることになったので、期は熟したと鞍馬山に夢槍の回収に向かいました。
すると、それはおびただしいほどの雷光を放ち静かにそこに佇んでいました。
1年と8ヶ月。山からのエネルギーを浴び続けて、手にしてみると神々しさを感じました。


しばらくはドリームスピアを手に山道を進みました。
魔王殿に差し掛かると、不思議な声が聞こえました。
試してみるか?
魔王からの呼び掛けです。
新しく生まれ変わったドリームスピアの威力を確かめたくて僕は戦いに挑みました。
結果は惨敗。山の力はとてつもなく、退却するしかありませんでした。


そのまま貴船神社に向かう途中、
ドリームスピアに帯びていた膨大なエネルギーは消えていきました。
というより、ドリームスピアの中に溶け込んでいった感じでした。
そして、心の中から迷いが消えたような気がしました。
どうやら、ドリームスピアに新たな力が宿ったようです。
それは、迷いを打ち消す力。
ドリームスピアを道具として使うと、
魔封じの効果を発揮するようになったようです。


というわけで、全く迷いがなくなりました。
やるべきことをただひたすらやることが、
夢に繋がっている。そうか、夢が生まれたのか。