ブラウンの手紙2

親愛なるハイネ・ジュリアノール君


ジュリア。僕は, 君が不安に感じているときに
傍にいてあげる事ができなかった事を寂しく思っているよ。
あの一件に関して, 君が責任を感じる必要はひとつもないんだ。
僕があの夢に固執して生活していたばかりに
君に不必要な悪夢を見せてしまったのかもしれないね。
僕もそろそろあの夢とは関わらない生活を送るべきだと思えているところだよ。


それに, 真実は漸く僕の手の届くところまでやってきたようだ。
本当は, ずっと前から真実は目の前にあったのに,
それが真実だとは思いたくないという気持ちの方が強かった事が
原因になってしまっていたのかもしれないね。
僕はいよいよ夢を諦める時がきたんだと考えているよ。
あの夢のために僕達ができることはもう何もないんだ。
すべての手を尽くした。君より僕の方が少し諦めが悪かったから,
君がいない間にも僕はずっとあの子の事を見守っていた。
しかし, もうできる事はすべてやった。
考えてみれば, 君のおかげで初めて
夢が夢のままで終わる事がなかったということになる。
だから, 君にはとても感謝をしているよ。


いずれ近いうちに君に会うことはできないかな。
僕は, 夢を見ていた頃の事を思い出にできる,
おそらくたった一つの方法を見つけたんだ。
できれば, 君と一緒に, その仕事をしたいと考えている。
きっとそれが君のためにもなると信じてやめる事ができないんだ。
たった一つの方法とは, 僕達が昔よくやっていた事だから,
努力を重ねる事で成し遂げる事ができるかもしれない。
それに, 重要な点は, この方法を使えば,
僕達の心の中にある思いをすべて解き放つ事ができるという事なんだ。
僕達には, 自分に正直になってもいい場所というのが確かにある。
僕はそれを見つけただけに過ぎないけれど, 君の力が必要なんだ。
もし君が, どこかでカランコエを見つける機会があったら,
その花言葉を思い出して考えてみて欲しい。良い返事を期待しているよ。


ファイン・ブラウン