ファイン・ブラウン教授

ジュリア。君は夢を見ないで生きると決めたようだけど,
僕は君のように簡単に夢を諦めたりはしないよ。
限りなくゼロに近い可能性でも, 賭けてみる事自体は無意味な事とは思えない。
だからこそ僕はこれからも, いつどんな時でも冷静に振舞い,
注意深くこの問題を見守っていくつもりだよ。


ただ, 君の言う事も正しい。どうやらいま僕達は,
手に入らないという事実の方に魅力を感じているんだろうね。
事実, 手に入らない事がわかってからの方が,
より強くその夢を求める気持ちを抱いてはいないかな。
僕達の力ではどうすることもできない。諦めざるを得ない。
だからこそ, これまでの目標がより輝いて見えているんだ。
あらゆる不都合な点すらも, 盲目的に無視出来てしまうくらいにね。
ある物事を必要以上に魅力的に感じてしまったいることこそが
僕達が向き合うべき唯一の問題点なのかもしれない。
真実を見透かすフィルターを通して物事を見定めるためにも,
もう一度, 出発点に立ち戻って, 僕達の夢を見つめ直してみないかい?
手に入らないという事実についてはすっかり取り除いてしまって,
夢そのものの価値をもう一度考え直してみるんだ。
もしかすると, 僕達の抱えている問題は
それほど大きな問題ではないのかもしれないよ。