偽りの記憶

書き換えた記憶は恐らく次の2点。
「始めから,達成できたところまでの夢しか見なかったと過去の記憶を書き換えた」
「守る事ができなかったショックを和らげるために,
守りたいなんて始めから思わなかったかのように記憶を書き換えた」
そう書き換えてしまった事で,事実がどんどん崩れていって,
何も感じなくなっているんだと思います。


これはまずいことになってしまいました。
このままではもう過去を思い出と呼ぶ資格がないのと同じ事。
偽りのデータが記憶を侵食し,光をも消してしまっています。
完全に記憶が書き換えられてしまう前に,
呼び覚まさなければならない気持ちがあるけれど,
どこに行ってしまったのかがわからない。
こうなるとは知らずに,つい間違った処理を心に施してしまっていた事に
もっと早く気が付くべきでした。
もちろん意図的に書き換えたわけではないのですが,
少しずつすり替えられて行ってしまっていたんです。
波風を立たせたくないというのは確かにあって,
これはそのための処理ということになりますが,
それではやっぱり納得できるわけがない。
心は確かに平静を取り戻してはいますが,
それは本来の目的ではないんです。
心が乱れても手に入れなければならないものがあるんです。
今ならまだ間に合います。気が付いた今ならきっと間に合うはず。


思い出せ…。俺は夢を叶える事ができなかった。
そして,守りたかったから強くなりたいと思ったんだ。
結果はどうあれ,そのためにここまでやった事は過去にはたったこの一例しかないんです。
これは,自分にとっては大切な『The 1st memory』。
0から1に…ちょっと前に進んだ最初の思い出。
記憶が完全に真実を取り戻し,鍵のかかった場所に封じ込められた思い出を
心に帰らせるためのキーワード。それは,サ…。