夢から覚めた場所

■プロローグ
目が覚めたとき、キミはキミである事を忘れている?
それとも、覚えている? きちんと整理、できたかな?
そろそろ、起きる時間…だよ。


アイデンティティ・バニッシュ計画
こんにちは。えっと、今日は2月18日ですね。ここが1週間後の世界かぁ。
もうひとつのステージに立つための心の準備期間として、日記を1週間休ませていただきました。
自分の目標にきちんと向き合おうとする気持ち。どうかな。 きちんと収束させられたかな。


自分のことを客観的に眺めるのは難しいのではっきりとはよくわかりませんが、この1週間の間に、寝ている間にある夢を見ました。
ストレートで、普段は見ないヘンな夢かもしれないけど、見られて良かったと思えるような夢。
それは、エーゲ海の岸壁の夢。そこから、飛び降りる夢。
青い空。青い海。とても大きな海でした。慣れていない人間にとっては、打ち付ける波はそんなに穏やかじゃなかったように見えました。
初めは観光気分だったような気がする。夢だからあんまり設定とかなくて、岸壁に立っているところから始まったんだけど。
現地の風習なのかな。エーゲ海・岸壁では、自分に勇気があることを試すために、
「高度 15m の岸壁から男たちが飛び込んで、海中から貝殻を拾い上げる」
という儀式が行われていました(夢の中で作り出された儀式で、おそらくフィクションです)。
「一番大きな貝殻を拾い上げた男が、その年で一番勇気がある人物として認められる」という設定でした。
結果を先に言ってあるので話がしやすいのですが、巻き込まれてしまったわけです。
なぜか現地の言葉がわかって、村長さんっぽい老人が見ているだけのつもりだった自分にすごい剣幕で語りかけてくるんですよ。
「いや、僕はこういうのはちょっと…」と当たり前のように引き下がっていたのですが、次の台詞が飛んできて、つい…。
「夢だけは大きいんだな! 飛び込む勇気もないくせに」
つい、飛び込んじゃいました。
「うおりゃあああああ!」とか叫んだ。言えばなんとかなる気がして。


いくつもの空気がすごい勢いで体中にぶつかりました。
なんか痛かった。水面に下半身を思いっきり打ちました。
そのままの勢いで2メートルくらい沈みました。
貝殻、拾えなくてもいいから、とにかく死ぬのは嫌!
こんなバカな死に方、嫌すぎる!
そんなふうに思った。目を開けても上と下の区別がつかなくて、
とにかく視線を1箇所に集中させて、状態が安定するまでじっとしていることにしました。
水の中じゃトラブルにあった時はとにかく落ち着いて行動することが大切って、サイパンで習った。
ようやく落ち着いて、水面を目指そうとしたとき、光ったんです。海の底が。
まだ息が続く感じがしたので近寄ってみると、そんなに大きくなかったけど貝殻でした!
水面に上がって、「あったよ! 貝殻、僕の分、ちゃんとあったよ!」って知らない人たちに向かって手を振りました。
すごく嬉しかった!


そこで夢から覚めました。朝からすごく疲れた気がして、ふくらはぎからふとももまで、なぜかホントに痛かった。
緊張のせいでお腹も痛くなりました。京都で講演した時だってお腹が痛くなるまで緊張することなんてなかったのにな。
でも気持ちはすごく良かったです。この日のうちは、この夢のことをすごくよく覚えていたのですが、
今日ここでこうして日記を書くまで忘れていました。
数学、たくさんやってるうちに、またすぐに忘れてしまう夢かもしれないけれど、ちょっとだけ心の中で何かが変わったかも。
こういう風に、自分を試そうとする夢、昔は見なかったな…。
夢の中に出てくるくらい頭の中で考えられていたことがちょっと嬉しかったです。
さぁて? これを現実に、どう活かすのかな? たっぷり見学させてもらおうか、dreamsphere君?


そしてもうひとつ。数学の研究をする時は、いろいろと仮定が必要になります。
「条件Aが成り立つならば、条件Bが成り立つ」という形をしている定理がこの世にいくつもあるんです。
そして「条件Aが成り立つならば、条件Bが成り立つ」がわかった場合、
今度は「条件Aが成り立たない場合は?」という疑問に答えることが次の戦いの舞台になります。
なんか同じかなって思いました。現実世界でも。
条件Aが成り立つ場合の物語。そして条件Aが成り立たない場合の物語。
どっちの場合に未来が分かれても、最善の物語を見つけてやろうじゃないか! という意識が芽生えてきました。
「俺は…夢なんか見ない! この夢に決着を着けるまではな!」(←とりあえず、言っとく。)
注)思いついたけど、まだ自分に似合っていない台詞には、普段とは異なる一人称が含まれることがあります。


11月29日。「僕には守らなければならない自分の個性なんかなくて、
誰かのためになることがあれば、それをすごく頑張りたいし、
誰かのためにならないことをしているんだったら、ちゃんと改善できるように意識したい。
とにかく何でもいいから頑張りたい。」
アイデンティティ・バニッシュ計画』の目的地です。勇気が欲しい。個性を賭けてでも。


夢から覚めた今、もう、物語は始まっている。
結果はもうどうでもいい。それよりも、ちゃんと立ち向かった思い出が欲しくなりました。
このステージに、全神経を預けます。